古物営業許可申請

許認可申請

古物とは、どういうものを指すのでしょうか。古物営業許可はどんな場合に必要なのでしょうか。個人がネットを通じて古物を売り買いする場合でも、許可が必要なのでしょうか。許可なしに古物を販売すると罰則があるのでしょうか。

ここでは、こうした疑問にお答えしていきましょう。

「古物営業」とは何か

古物営業には3つの種類があります。

古物営業の種類
  • 古物商 … 古物を自らまたは他人の委託を受けて、売買または交換をする営業
  • 古物市場主 … 古物商間で古物の売買または古物の交換のための市場を経営する営業
  • 古物せりあっせん業 … 古物の売買をしようとする者のあっせんを競りの方法により行う営業

とされています。ほとんどの場合、古物営業といわれてイメージするのは最初に示した古物商だと思います。

古物営業法第2条

(定義)
 この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。
 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの
 古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。以下同じ。)を経営する営業
 古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに限る。)により行う営業(前号に掲げるものを除く。以下「古物競りあつせん業」という。)

 この法律において「古物商」とは、次条の規定による許可を受けて前項第一号に掲げる営業を営む者をいう。

 この法律において「古物市場主」とは、次条の規定による許可を受けて第二項第二号に掲げる営業を営む者をいう。

 この法律において「古物競りあつせん業者」とは、古物競りあつせん業を営む者をいう。

「古物」とは何か

古物の定義は、古物営業法第2条に、次のように示されています。

古物営業法第2条

(定義)
第二条 この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。


「一度使用された物品、もしくは、使用されない物品で使用のために取引されたもの、または、これらの物品に幾分の手入れをしたもの」
要するに、一度使われた物や新古品、手入れをした物が古物といわれているものです。

ちなみに古物は「こぶつ」と読みます。

「古物」の種類は、13種類

古物は次の13種類に分類されます。詳しくはこちら

古物の種類
1 美術品類 6 自転車類 10 道具類
2 衣類 7 写真機類 11 皮革・ゴム製品類
3 時計・宝飾品類 8 事務機器類 12 書籍
4 自動車 9 機械工具類 13 金券類
5 自動二輪車および原動機付自転車    

古物商許可を得る場合は、自分が取り扱いたい古物を上記の13種類から選択することになります。複数を選択することも可能です。取り扱いたい古物によっては複数を選択して申請した方が業務がスムーズなこともあります。

古物商の許可は、なぜ必要なのか

では、なぜ古物を販売するのに、古物商の許可が必要なのでしょうか。それは盗品の売買を防ぐためです。また盗品の売買を早期に発見するためでもあります。盗品が売買され、販売者が収益を得ることは、犯罪の助長につながります。盗品を自由に販売できてしまうと犯罪者を手助けすることになります。このような事態はあってはなりません。そのため古物の販売には許可が必要となるのです。

事前に古物商の許可を得ていないと無許可営業になります。

それなら使った物といっても、自分の物を販売するのであれば古物商の許可は必要ないのでは?

基本的にはその通りです。自分の物を販売する場合には許可は必要ありません。

しかし自分のものといっても、最初からその物を手に入れて他に販売して収益を得ようとする場合は話が別です。こうした行為は、転売といわれる行為です。転売することを目的に中古品を購入しているわけですから、中古品の売買を業として行っていることになります。ですから場合は、許可が必要というわけです。

たとえばオークションサイトで品物を手に入れて、それを手に入れた価格より高く売ることで差額を得るといった場合が転売にあたります。

古物商の許可が必要な場合

ではどういった場合に許可が必要で、どういった場合には許可が必要ないのでしょうか。
以下にまとめてみます。

古物商の許可が必要な場合

古物商の許可が必要になってくるのは、次のような場合です。

古物商の許可が必要な場合
  • 中古品を買い取って、販売する
  • 中古品を買い取って修理して、もう一度販売する
  • 中古品を買い取って、その中古品から使える部品だけを販売する
  • 委託販売をする(古物を売った後で手数料を得る)
  • 中古品を、別の物と交換する
  • 中古品を買い取って、レンタルする
  • 国内で買った中古品を、海外に輸出して販売する
  • 国内で買った中古品を、ネットを通して海外に販売する

古物商の許可が必要ない場合

古物商の許可がなくても売買が可能なのは、次のような場合です。

古物商の許可が必要ない場合
  • 自分で使っていた品物を、他の人に販売する
  • 自分の持ち物を、オークションサイトに出品して販売する
  • ほかから無償で手に入れた品物を、販売する
  • 自分が売った相手から売った品物を、買い戻す
  • 自分が海外で買ってきた品物を、販売する

許可なしに古物を販売すると

古物商の許可を得ないで販売すると、どのような罰則があるのでしょうか。古物商の営業許可なしに販売を行うことは、古物営業法の無許可営業にあたります。古物営業法第31条に無許可営業は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処すると示されています。古物営業法違反の中でも最も重い罰則となります。

古物営業法第31条

第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者
 偽りその他不正の手段により第三条の規定による許可を受けた者
 第九条の規定に違反した者
 第二十四条の規定による公安委員会の命令に違反した者

取得には、営業所が必ず必要

古物商許可を取るためには、必ず営業所が必要です。営業所は、古物の買取や仕入れ、交換やレンタルを行う際に拠点となる場所です。

インターネットで古物を取り扱うなど実店舗をもたない場合でも、営業所は必ず必要になります。この場合、インターネットで古物取引を行うために事務作業を行う場所が営業所になります。

営業所とみなされない場所

営業所に該当しない場所
  • バーチャルオフィスなどの実態がない場所
  • 倉庫など保管するだけの場所
  • 駐車場

古物商許可取得の手続き

では、実際に古物商許可を取得するには、どのような手続きが必要なのでしょうか。

法人または個人として手続きをする場合は、以下の書類を届け出る営業所を管轄する警察署に提出することが必要です。

申請に必要な書類

古物営業許可申請書

古物営業許可申請書
  • 役員に関する申請書(許可申請書 別記様式第1号その1(ア)
  • 営業所に関する申請書(許可申請書 別記様式第1号その2・その3)
  • ホームページ利用についての申請書(許可申請書 別記様式第1号その4)

申請書に添付する書類

添付書類
必要書類 法人申請 個人申請
登記事項証明書
履歴事項全部証明書
×
定款
事業目的の欄に、古物営業を営む旨の記載
×
住民票の写し
本籍地記載のものが必要

本籍地記載のものが必要
市区町村長の発行する身分証明書
最近5年間の略歴書
欠格事由に該当しないことの誓約書
営業所の貸借契約書
古物営業所としての使用の可否を確認
居住専用は不可

古物営業所としての使用の可否を確認
居住専用は不可
駐車場の賃貸借契約書
プロバイダ等からの資料
備考 ※ 監査役以上の役員全員と営業所の管理者について必要 ※ 本人と営業所の管理者について必要

必要な書類の入手先と申請先

申請に必要な書類は、管轄の警察署のホームページからダウンロードすることができます。

営業所の所在地を管轄する警察署が申請先となります。申請者の住所地を管轄する警察署ではありませんのでご注意ください。生活安全課が担当となっている場合が多いようです。

古物営業の許可を受けた後の届け出

古物営業の許可を受けた後に、許可証の記載事項等が変更になった場合には、14日以内に書換申請や変更届出の手続きが必要になります。詳しくはこちら

ご相談ください

古物商許可を申請したいが、手続きがよくわからないという方、古物商許可を取得したいが手続きが面倒だという方、手続きのために警察署に相談に行く時間がとれないという方は、当事務所で手続きを代行いたします。

ご相談ください。

詳しい解説

古物の種類

古物の種類
1美術品類美術的価値を有しているもの絵画、書、彫刻、工芸品、登録火縄銃、登録日本刀など
2衣類繊維製品や革製品など、主として身にまとうもの着物、洋服、その他衣料品、敷物類、テーブル掛け、布団、帽子、旗など
3時計・宝飾品使用する者の嗜好によって選択され、身に着けて使用される飾り物時計、眼鏡、コンタクトレンズ、宝石類、装身具類、貴金属類、模造小判、オルゴール、万歩計など
4自動車自動車及び自動車のパーツ自動車本体、タイヤ、バンパー、カーナビ、サイドミラーなど
5自動二輪車および原動機付き自転車自動二輪車本体、原動機付き自転車本体及びパーツ自動二輪車本体、原動機付き自転車、タイヤ、マフラー、エンジンなど
6自転車自転車本体及びパーツ自転車本体、空気入れ、かご、カバーなど
7写真機類プリズム、レンズ、反射鏡等を組み合わせて作った写真機、顕微鏡、分光器等カメラ、レンズ、ビデオカメラ、望遠鏡、双眼鏡、光学機器など
8事務機器類計算、記録、連絡などの能率を向上させるために使用される機器及び器具レジスター、タイプライター、パソコン、ワープロ、コピー機、ファックス、シュレッダー、計算機など
9機械工具類電気によって動く機械及び器具、他の物品の生産・修理などに使われる機械及び器具のうち、事務機器に該当しないもの工作機械、土木機械、医療機器類、家庭電化製品、家庭用ゲーム機、電話機など
10道具類12種類以外のもの(1~9、11~13以外のもの)家具、楽器、運動用具、CD、DVD、ゲームソフト、玩具類、日常雑貨など
11皮革・ゴム製品皮革またはゴムで作られている物品鞄、バッグ、靴、毛皮類、化学製品(ビニール製、レザー製)など
12書籍古本(文庫、コミック、雑誌など)
13金券類商品券、ビール券、乗車券、航空券、各種入場券、各種回数券、郵便切手、収入印紙、オレンジカード、テレフォンカード、株主優待券など

古物営業許可後に必要となる届け出

古物営業許可後に必要な届け出
該当する事項 必要な届け出
〇主たる営業所を変更した
〇営業所の名称を変更した
〇営業所の所在地を変更した、移転した、増やした、または廃止した
〇営業所がなくなった
変更届書
〇許可者の住所が変わった
〇営業所の管理者が変わった
〇法人の名称、所在地、代表者、役員が変わった
書換申請・変更届出
〇ホームページを開設した
〇ホームページのURLが変更になった
〇ホームページを閉鎖した
変更届(URL届出)
〇古物営業を廃止した
〇許可者が亡くなった
〇法人が解散した
〇再交付を受けたのちに古い許可証が見つかった
返納届出
〇許可証を紛失した 再交付申請
〇仮店舗で営業する 仮設店舗営業届書