遺産分割協議書

遺言書作成・相続手続き

遺産分割協議書は、相続財産のうち誰がどのくらい相続するかをまとめた書類です。相続が発生すると、遺産分割協議という話し合いを行います。遺産分割協議には相続人全員の参加が必要です。全員で話し合って遺産分割の方法と相続の割合を決定します。このように相続人全員の合意が得られた内容をまとめたものが、遺産分割協議書です。

遺産分割協議書は、相続でのトラブルを防ぎ、相続手続きをスムーズに進めていくための基本となる書類です。必ず作成しなければならないものではありませんが、作成しておけば相続人の間のトラブルを未然に防ぐことができます。

遺産分割協議書作成の流れ

遺産分割協議書は、次のような順序で作成していきます。

遺産分割協議書作成の流れ
  1. 相続人の確定
  2. 相続財産の確定
  3. 遺産分割協議
  4. 遺産分割協議書の作成

相続人の確定

最初に行うのが相続人の確定です。誰が被相続人の財産を相続するかをはっきりさせます。被相続人の死亡から出生まで戸籍を遡って収集します。収集した戸籍をもとにして相続人は誰で、全部で何人なのかを確定します。

相続財産の確定

次に、被相続人が所有していた財産をすべて調べます。被相続人が所有していた財産は、不動産、預金、株式、自動車などさまざまだと思います。それらを一つ一つ調べていきます。預金ひとつをとっても多くの場合、金融機関が1か所とは限りません。銀行で通帳を作成していなかったり、ネット銀行を利用していたりするケースも、現在では多くなってきています。それだけにすべてを把握するのは非常に大変なことです。

また財産はプラスの財産ばかりとは限りません。借金や未返済のローンなどマイナスの財産もあります。マイナスの財産はあまり人に知られたくないものです。被相続人が発見されにくい場所にマイナス財産を収納しているケースも多くあります。

遺産分割協議の実施

相続人と相続財産が確定したら、次はいよいよ遺産分割協議です。相続人全員で話し合いをして遺産をどのように分けるかを決定します。現金や預金でしたら容易に分けることができますが、不動産となると簡単には分けることができません。共有にするのか、誰かが相続するのか、慎重に話し合うことが必要です。特にあまり価値を見出すことができない不動産の場合には、なおさら慎重な話し合いが必要になります。

遺産分割協議では、法定相続分にこだわる必要はありません。相続人全員の合意を得ることができれば、法定相続分とは異なった分け方をすることもできます。

相続人にはそれぞれの思いがあることでしょう。一度の遺産分割協議ですんなりと遺産分割の方法と分割の割合が決定できるとは限りません。一度で決定することはむしろまれでしょう。それだけに相続人と相続財産が確定したら、早めに遺産分割協議を始めることが大切です。

相続税の納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月後です。10か月は長いように見えますが、葬儀に続き相続人確定のための調査、被相続人の財産確定のための調査などを行っているとあっという間に時間がたってしまいます。ですから相続人や財産が確定したら、すぐにでも遺産分割協議を進められるようにしていきましょう。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書には、特に決まった様式があるわけではありません。相続財産の分け方や相続の割合が明確にわかれば問題ありません。明確にわかるようにするには、以下の内容については必ず記載しておくことが必要でしょう。

遺産分割協議書に記載する内容
  • 被相続人の氏名と死亡日
  • 相続人全員が遺産分割内容に合意していること
  • 相続財産の具体的な内容
  • 相続人全員の氏名、住所と実印の押印

遺産分割協議書が必要な手続き

遺産分割協議書は必ず作成しなければならないものではありません。しかし遺産分割協議書が必要となる手続きも多くあります。たとえば①金融機関での預金の名義変更・払い戻し、②証券会社での株式の名義変更、③不動産の名義変更、④自動車の名義変更、⑤相続税の申告などをあげることができます。相続人が相続税を申告する際にも遺産分割協議書が必要となります。これらの手続きであっても、取扱機関によっては、遺産分割協議書が必要でない場合もあります。

遺産分割協議書が必要ない場合

遺産分割協議を行う必要もないし、遺産分割協議書も必要ない場合もあります。

たとえば相続する人が一人しかいない場合は、すべてを一人の相続人が引き継ぐわけですから遺産分割協議は必要ありません。そもそも遺産を分割しないのですから必要ないわけです。

また遺言書があり、遺言書の通りに遺産を分割する場合にも遺産分割協議は必要ありません。ただし遺言書があっても、遺言書とは異なった方法や割合で遺産を分割したいという場合には、遺産分割協議が必要となります。

あとで遺産が発見された場合に備えて

上でも書きましたが、銀行で通帳を発行していないケース、ネット銀行を利用しているケースなどこれまでと比較して、遺産が発見されにくいケースも多くあります。

遺産分割協議を終え、遺産分割協議書通りに遺産を分割した後で、発見されなかった遺産が発見されることも考えられます。そうした場合に備えておくことも必要です。後から見つかった遺産をどのように取り扱うかを遺産分割協議書に記載しておくと良いでしょう。たとえば「あとから発見された遺産は、被相続人の配偶者である〇〇が相続する」としておけば混乱することなく処理できます。

ご相談ください

遺産分割協議書ということばを初めて聞いた。遺産分割協議の進め方は何となくわかったけれど、自分たちだけで進めるのは不安。相続人の調査や相続財産の調査をしている時間が、なかなかとれない。

遺産分割に関わる迷いや不安は多々あると思います。悩んでいるのでしたら、ぜひ当事務所にお声かけください。あなたの悩みに寄り添って一緒に考えていきます。トラブルなく遺産分割を進めるためのお手伝いをします。ご相談ください。