相続が発生すると相続人を特定することが必要になります。遺産分割協議には相続人全員の意思を統一することが必要だからです。そのためには誰が相続人なのかをはっきりさせることが必要です。
では、どのように相続人を特定していくかをみていきましょう。
被相続人の戸籍の収集
相続関連の手続きを進める際には、各提出先で相続関係を明らかにすることが必要になります。相続手続きに必要な戸籍をもれなく集めていくことが必要になります。
被相続人(亡くなった方)が死亡により除籍となった戸籍からさかのぼり、被相続人が出生し戸籍に入ったときまでのものを収集します。
役所の窓口での取得のほか、郵送での請求も可能です。役所のサイトで郵送で申請する方法や申請先を確認することができます。
相続人の現在戸籍の収集
相続人が現在生存していることを確認する必要があるため、それぞれの相続人の現在の戸籍が必要となります。相続人の現住所を確認するために戸籍の附票や住民票も取得しておきます。
法定相続情報一覧図の作成
収集した戸籍をもとにして「法定相続情報一覧図」を作成します。
法定相続情報一覧図には、①被相続人の最後の住所、②被相続人の最後の本籍、③不動産がある場合には登記簿上の登記名義人の住所となります。
そして各相続人を家系図のように配置します。
hoteisozokujoho法務局のサイトに主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例が掲載されています。
法定相続情報証明制度
作成した「法定相続情報一覧図」は、法定相続情報証明制度を受けることができます。この証明を受けることで各種の相続手続きを同時に進めることができるようになります。
「法定相続情報一覧図」と一覧図の作成に用いた書類一式を法務局に提出して、登記官に一覧図を確認してもらいます。その後、登記官の認証文付き法定相続情報一覧図写しを交付してもらうことができます。この写しは金融機関などで相続手続きを進める際に使用することができます。
以前は収集した書類一式を、金融機関に提出し確認してもらうことが必要でした。したがって一つの金融機関での確認が終了しないと、次の金融機関での確認ができませんでした。「法定相続情報証明制度」により認証文付きの法定相続情報一覧図の写しを複数枚発行してもらうことができますので、並行して手続きを進めることができるようになりました。
法務局への申請方法
管轄の法務局
申し出をすることができる法務局は、次に該当する法務局です。
- 被相続人の本籍地
- 被相続人の最後の住所地
- 申出人の住所地
- 被相続人名義の不動産の所在地
上記の法務局が管轄の法務局となります。いずれの法務局でも申請することができます。郵送での申請も可能です。
基本は相続人が申請
基本的に申請できるのは、相続人になります。弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士に委任することで、代理申請することもできます。
申請に必要な書類
申請書の記入
申請書の記入の仕方は法務局のサイトに掲載されています。具体的には下記のように記入します。
20230620B(法務局のサイトより引用)
必要な書類をそろえて管轄の法務局に提出することで、登記官の認証文付き法定相続情報一覧図写しを交付してもらうことができます。