清算型遺贈

遺言書作成・相続手続き

清算型遺贈とは、遺産を売却して換価し、相続人間で分配する方法です。

清算型遺贈は、遺産の全部または一部を売却してお金に換え、かかった費用や被相続人の債務などを支払ったうえで、残った金額を相続または遺贈することをいいます。

したがって遺産を売却処分する人、遺言執行者と呼びます、を遺言で指定しておくと相続人に負担をかけることなく相続を行うことができます。

清算型遺贈を利用するケース

清算型遺贈を利用する場合は、次のようなケースを考えることができます。

清算型遺贈を利用するケース
  • 主な相続財産が不動産であり、相続人に均等に分けるためには不動産を現金化する必要がある
  • 相続人が遠方のため、被相続人の住んでいた自宅が空き家になってしまう
  • 自身の全財産を寄付したいと考えている一人住まいの方
  • 相続税の納税資金に不安がある

上記のような場合には、清算型遺贈の利用により、心配される事態が生じることを防ぐことができます。

遺言執行者

遺言執行者は遺言執行者名義で不動産などの財産の売却を行うことができます。法定相続人に代わって登記手続きを行うことができます。

民法 第1012条

(遺言執行者の権利義務)
第千十二条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

清算型遺贈の場合は、①相続を原因とする所有権移転登記と②売買を原因とする所有権移転登記の2段階の登記申請が必要となります。①相続を原因とする所有権移転登記については、遺言執行者が単独で申請することができますし、②売買を原因とする所有権移転登記については、遺言執行者と買主との共同での申請をすることができます。したがって相続人が登記申請に関与する必要がありません。

相続人が複数いて、相続人間の関係が良好でない場合など相続人全員の意思を統一することが難しい場合があります。そんな場合にも遺言執行者がいれば遺言執行を速やかに進めることができます。

清算型遺贈の遺言例

清算型遺贈の遺言例

遺言者は、所有する下記不動産を遺言執行者に換価処分させ、その代金から、遺言者の残債務、相続に関する費用、遺言者の葬儀費用等の遺言執行に関する一切の費用を向上した後、残金を妻 〇〇 〇〇 (昭和〇年〇月〇日生) に遺贈する。

(不動産について記載 略)

被相続人の死後、遺言執行者に不動産の処分手続きをしてもらい、必要経費を支払ったうえで残金を指定した人物に遺贈する、という遺言となります。

上記に示したケースに当てはまる場合には、清算型遺贈の遺言を考えてみることも一つの方法だといえます。