「土地を相続したけれど、場所が遠くて管理が大変」「相続した土地に毎年税金がかかって負担が大きい」「農地を相続したけれど、農業をするつもりはない」
理由はさまざまでしょうが、相続したもののその土地を手放したいと考えている方は多いようです。あるいは不要な土地なので相続したくないと考えている方も多いようです。
令和5年から相続した土地を国庫に帰属することができる制度が開始されました。ここでは「相続土地国庫帰属制度」の概要をみてみましょう。
相続土地国庫帰属制度とは
「相続土地国庫帰属制度」とは、相続や遺贈で取得した土地を手放して、国庫に帰属させることができる制度です。
なぜ相続した土地を国が引き取ってくれるのでしょう? 国にメリットはあるのでしょうか?
相続したにも関わらず、登記しないままになってしまい所有者不明になっている土地。不動産登記簿を確認しても所有者が分からなかったり、所有者はわかっても所有者の所在が不明のため連絡がつかなくなってしまっている土地。こうした土地がたくさんあることが問題になっています。このような土地を増やさないための方策の一つが「相続土地国庫帰属制度」です。
国庫に帰属した土地は、国が管理・処分を行います。主に農用地として利用されている土地、森林として利用されている土地については、農林水産大臣が管理・処分を行います。それ以外の土地は、財務大臣が管理・処分を行います。
土地の要件
国家が土地を引き受けてくれるとはいっても、どんな土地でも引き受けてくれるわけではありません。
国が引き取れないという要件には、却下要件と不承認要件の2種類があります。
却下要件
土地が次の要件に該当する場合には、承認申請をすることができません。
土地を処分したり、管理したりするのに費用や労力が必要となる場合が、却下要件となります。
たとえば土地に建物が存在する場合は、土地を処分するために家屋を解体し、平地に戻すことが必要となります。国が土地を処分するために過分の費用を要することになります。したがって、こうした場合には、国は承認申請を却下することになります。
不承認要件
却下要件とは別に、不承認となる要件があります。
このような場合には不承認となりますが、要件にあてはまるかどうかは、土地ごとに判断していくことになります。
申請権者
この制度の特徴として、期間が限定されていないことを挙げることができます。
したがって、いつ相続した土地であっても、承認申請をすることができる、ということです。
申請の流れ
審査手数料
審査手数料は、申請書に収入印紙を貼って納付します。
手数料納付後は、申請を取り下げる場合であっても返還されませんので注意が必要です。
負担金
負担金は、土地の性質に応じた管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額とされています。
申請土地が宅地、農地、その他(雑種地、原野等)の場合は、原則20万円とされていますが、それぞれに例外の算定がありますので、申請する土地が例外にあたるかどうかを確認しておくことが必要です。また申請土地が森林の場合には、面積区分に応じた算定となります。
相続土地国庫帰属制度について知るには
これまで述べてきました「相続土地国庫帰属制度」については、法務省のサイトに詳しい内容が掲載されています。利用をお考えになっている場合には、あわせてご覧ください。