届出と許可と認可、何がどう違うのでしょう。通常はあまり意識していないと思います。「役所にいって書類をだすことだな」という感じではないでしょうか。
実は、この3つは明確に違うものなのです。根拠は行政手続法という法律にあります。
それではその違いをみていきましょう。
届出とは何か
「届出」とは何かを根拠となる法律でみてみましょう。行政手続法第2条に「届出」の定義があります。
行政庁に対し、一定の事項を通知することを「届出」といいます。何を届け出るかは、あらかじめ決まっていて、その決められた資料を提出すれば「届出」は完了となるわけです。このことは行政手続法の第37条で述べられています。
「届出が提出先の機関の事務所に到達すれば、義務を履行したことになる」というわけです。要するに「提出すれば、それで終わり」ということです。
ただし、やっていない宿題のノートを提出しても、宿題を出したと先生に認めてもらえないのと同じで、いい加減な書類を提出しても役所に届け出たことにはなりません。もっともいい加減な書類は受け取ってもらえないでしょう。
それが前半部分です。「記載事項に不備がないこと、必要な書類が添付されていること」などの形式上の要件に適合していることが必要なのです。
役所の窓口で、提出書類を確認してもらい、不備がなければ届出は完了です。不備がある場合は、書類をそろえて、もう一度提出しなければ届け出たことにはなりません。
許可とは何か
では「許可」とは、どういうことでしょう。
皆さんが「何かをしたい」と思ったときに、「許可」が必要なことがあります。「許可」を受けた人だけが、その行為をすることを許されるわけです。普通は法律上で禁止されていることを、行政庁が特定の場合に許し、できるようにすることを「許可」というわけです。
「届出」と「許可」の一番の違いは、「行政庁が諾否の応答」をすることです。「届出」の場合は、提出すればそれで完了でしたが、「許可」の場合は、行政庁に申請して許可してもらうことが必要なのです。
審査基準
「行政庁が諾否の応答」をする際に、あらかじめ審査の基準を決めておくことが大切です。そうでないと、同じ内容で申請しているのに、あるときは許可されて、あるときは不許可になったということが起きてしまいます。また、同じ許可が欲しくて全く同じ内容で申請したのに、ある人の場合は許可されたのに、私は許可されなかったということが起きてしまいます。
こうした不公平が起きないように審査する際の基準を定めておくことが必要です。その基準を審査基準といいます。
行政庁は「審査基準」を定めなくてはいけないし、基準は具体的でなければならない、そしてみんなに分かるようにしておかなければならないのです。
「許可」には「申請」が必要で、「審査基準」によって諾否が判断されるのです。
例としては、飲食店営業の許可や自動車運転免許がそれにあたります。
認可とは何か
「届出」や「許可」と比べるとなじみがないのが「認可」ではないでしょうか? 「届出」や「許可」は何となく耳にするけど、「認可」というのはあまり聞かないなあ、という感じでしょうか。保育所設立の認可や銀行合併の認可を例としてあげることができます。
「認可」を受けるには、「許可」と同じく、事前に「申請」することが必要です。そして行政庁から諾否の応答があることもかわりません。ではいったい何が違うのでしょう。
「認可」とは、ある人の行為に行政が同意することで法的な効力をもつようにすることです。本来は認可が必要なことなのに認可なしに行ったときは、法律上の効果が発生せず、無効になります。先ほどの銀行同士が合併するには、行政の認可が必要です。もし認可されなかった場合は、銀行の合併は成立しないことになります。
ご相談ください
「許可」と「認可」をあわせて許認可という呼び方をします。許認可の申請代行は、行政書士の仕事です。許認可についてお悩みのことがありましたら、当事務所にご相談ください。許認可の実現に向けてサポートいたします。